化学品・化成品分野 / ポバール<エバール>フィルム
<エバール>は、1972年にクラレが世界で初めて工業化に成功した独自のポリマー。正式名称「エチレン-酢酸ビニルランダム共重合体けん化物」というプラスチックの一種。炭化水素(CH2)がつながった鎖に水酸基(OH)がたくさんぶら下がったもので、透明性が高く最高の気体遮断性をもつ機能性樹脂です。「気体を通しにくい」「透明性が高い」「薬品に触れても変化しにくい」「光沢性に富む」など、ほかのプラスチックにない様々な特長をもっています。
特長
- ハイガスバリア性:酸素をはじめ、気体をほとんど通しません。
- 保香性:商品の香りを保持し、いやな臭いを寄せつけません。
- 耐油性、耐有機溶剤性:油類、有機溶剤を含む薬品の包装や、防汚染性目的の壁紙用途に適しております。
- 透明性:黄変もなく、すばらしい光沢と透明度で商品の美観を引き立てます。
主な用途
- 食品包装材
- 家庭用品包装材
- 壁紙
トピックス
<エバール>の高いガスバリア性で高鮮度を保ちます
かつおぶしのパック。日常生活でよくご覧になるものだと思います。実はこれにも<エバール>の高いガスバリア性が活かされています。かつおぶしは空気に触れるとすぐに劣化してしまいます。しかし、かつおぶしパックからでてくるかつおはいつも新鮮そのもの。カットされて時間がたち、小分けにされることでこれまでの包装ではどうしてもたくさんの空気とかつおぶしが触れてしまうことで鮮度が落ち、かつおぶしの小分けは実現できませんでした。しかし、<エバール>フィルムが開発され、ガスをシャットアウトして密封できる技術が進んだため、こうして食卓で気軽に鰹節をいただくことができるようになったのです。
真空断熱板の性能向上に最適
冷蔵庫には内部を低温に保つための断熱材がフレーム内に収められています。その断熱材として近年注目を集めているのが真空断熱板(VIP=Vacuum Insulation Panel)で、従来のウレタンフォームに比べ10倍の断熱性能を有します。そのため省エネに貢献し、また断熱材の厚みを薄くできることから外寸は同じでも内容量を従来よりも大きくすることが可能になります。真空断熱板とは断熱性のある芯材を、バリア性のある袋に入れ、中を真空にしたもの。その袋にプラスチックフィルムとして最高レベルのバリア性を有する<エバール>フィルムが使用されています。(アルミ箔などの金属に比べプラスチックフィルムは熱伝導性が低いため真空断熱板の性能向上に適しています。)
多種多様な製品用途
壁紙にも<エバール>フィルムが使われています。「汚れ防止」と呼ばれる機能性壁紙で、塩ビ壁紙の表面に<エバール>フィルムをラミネートすることで、表面付いた汚れを簡単に拭き取ることができます。そのほか、表面強度を向上させる働きもあり、特に強度に特化した壁紙製品は「汚れ防止+耐久性強化壁紙」としてペットのいる家庭や、病院や療養施設などベッドや車椅子などで壁紙が傷つきやすい環境で役立っています。
こんなところでも…
タバコや医薬品や薬剤などの包装材の内面材にも<エバール>フィルムは使われています。一般的なポリエチレンなどを内面材に使ったものに比べ香りや薬効成分の吸着が抑制されるため、品質の長期間保持が可能となります。また、<エバール>内面材に使用可能なジッパーを外部企業(富士特殊紙業)との共同で開発し、これによって開封後に使い残した内容物の再封保存にも対応可能となり、用途の裾野の広がりが期待されています。
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